『10倍の発注ミス』

ある牛乳宅配の店でのお話です。
この店では、ある日、発注ミスによって、コーヒー牛乳を通常の10倍も仕入れてしまった。
賞味期限の短い商材ゆえに、このようなときには、通常なら叩き売りをして、残りは、廃棄処分にするしかありませんね。
しかし、彼はそう考えず、代わりに顧客にDMを送ったのです。
その見出しには次のように書いたのです。
<冷蔵庫開けると、そこには、そびえ立つコーヒー牛乳がドッカーンと山!>
そして、やや冗談交じりに、発注ミスをした自分たちを助けてほしいと訴えたのです。

すると、顧客から次々と注文が入った。
中には一度買った上で、賞味期限ギリギリに、再び買いに来た人がいたほどでした。
しかし、相手は今、牛乳の宅配を受けている人たちだけです。
この短期間に、大量のコーヒー牛乳を買う必要などありません。
それにもかかわらず、彼らは、ぞくぞくと購入し、ついには10倍のオーダー分が完売してしまったのです。
ここで生じた購買動機「買いたい」の気持ちは、何なのでしょう?
その動機は、コーヒーに対するものではない。

最終的に、その商品を買う行動は同じですが、動機は、コーヒー牛乳が飲みたくなったからではありません。
顧客は、彼らを助けたくて商品を買ったのです。
それは、ある顧客の次の言葉に表れています。
「お世話になっているから、力になりたかったです」と。
顧客と絆のある素晴らしい実話です。